事務所通信 12月号掲載
誇  り

 最近、連日のように「耐震偽造」事件が、報道されていますが、その当事者の1人である1級建築士は、次のように言っています。

「建設コストを下げる設計をするよう指示された」
「鉄筋の量を減らせ。できなければ他に発注すると言われた」
「安全性に問題が生じると答えましたが、できなければ他の業者に代えると言われました。生活ができなくなるので受け入れました」

この結果、国土交通省は、12月7日に開かれる中央建築士審査会の同意を得たうえで1級建築士の免許を取り消す予定です。

 一方、小さな記事でしたが私どもの業界でも事件が発生しています。

 外注装い消費税3億脱税 派遣会社社長と税理士逮捕(11/29)  

長野地検は29日、ダミー会社への外注を装う手口で5年間に消費税約3億1200万円を脱税したとして、消費税法違反(脱税)などの疑いで長野県諏訪市の人材派遣会社社長と、経理担当の税理士を逮捕した。

 消費税は、原則として預かった消費税から支払った消費税を引いた差額を納付する仕組みになっていますが、資本金1000万円未満の法人は2年間消費税の納税が免除されます。これを悪用し、納税義務が発生する2年ごとにダミー会社を設立しそこに外注した様に見せかけ(消費税を支払ったように見せかけ)脱税したと言うものです。

 仕事にはミスがないとは言い切れません。しかし、1級建築士、税理士も社会の信頼の上に成り立っている資格です。 それでも「プロ」か!生活がかかっているとはいえ、おまえたちには誇りがないのか! 誇りを捨ててまで顧客の言いなりになるのか!

同じ「士業」の1人として、そんな風に感じた2つの事件でした。

所 長  須 田 幸 英
事務所通信 12月号掲載
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